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鮒ずし

そもそも、鮒ずしは稲作文化圏である中国南部、タイ、ミャンマー、ラオス、ベトナムなどから伝わったとされる"なれずし”で、穀物の発酵を利用した米作り民族特有の保存食品である。 古代の技法を干年以上も守り、他家と味を競い研鑽を重ねることで湖魚料理の最高級品にまで発展させていったのは滋賀県だ。 鮒漁のシーズンは鮒が子を持つ二月中旬から四月中旬までの二ヶ月あまり。 鮒ずしの原料となるのはニコロブナと呼ばれる琵琶湖固有の鮒で、卵を抱いた雌がもっとも珍重される。 ニコロブナは"煮るにころ合い”の大きさという意味から地域によっては“煮頃鮒"と書くところもあるそうだ。 生きているうちにうろこを取り、まな箸で腑を丁寧に取りだす"つぼ抜き”といわれる作業を行い、卵だけを残した腹に塩を詰め、樽に重ねて夏まで塩漬けにする。 土用の頃(夏の終わりの最も暑い時期)に樽から出して水で洗って塩抜きをし、天日で乾かしてから、今度はその腹に冷ました近江米を詰め、飯と交互に重ねて再び漬け直す。 こうして本漬けを済ませてから少なくとも一年は熟成させたものが食卓に上るのである。 食べ方はそのまま薄く切って酒の看にするのがー番という声が高いのだが、お湯をさして醤油を垂らして吸いものにするのもいいし、お茶漬けもまた格別だ。 乳酸発酵食品独特のチーズに似た香りがあり、一口食べると口いっぱいに酸味と甘味が広がる。 かつては正月やお祭りなどお祝い事がある日や、葬式、法事など仏事の特別な日にだけ食べることができたというが、まさしく気の遠くなるような手間と時間が生み出す天下の美味なのである。
   
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