人形浄瑠璃文楽

人形浄瑠璃文楽(以下、文楽)は、演出家である語り手を中心に、三味線奏者、人形操者が一体となって舞台を構成する完成度の高い人形芝居で、わが国を代表する伝統芸能である。
江戸時代の元禄期に大成され、歌舞伎にも大きな影響を与えてきた。
17世紀になると文楽は大阪から江戸にも伝わり、多くの流派が現れはじめる。
中でも、大阪に「竹本座」を構えた竹本義太夫(1651-1714)は、台詞はもちろん、情景描写や心情、歴史的背景まで、三味線の音楽にのせて流麗に語る「義太夫節」を考案して話題を呼び、後の文楽に大きな影響を与えた。
絶妙な間の取り方に加え、歯や舌、唇などを意識的に使った独特の発声方法で、人々を物語の世界にぐいぐいと引き込んでいった。
文楽の演目には、歴史上の縁起物語や武勇伝を描いた「時代物」のほかに、当時の人々の生活を活き活きと描いた「世話物」がある。
劇作家・近松門左衛門 が、実際に起きた情死事件を題材に男と女の悲恋を描いた「曽根崎心中」は、心中物のブームの牽引役となっただけでなく、文学作品としても非常に高い評価を得ている。