吉野葛

盆地の厳しい寒さは、和菓子や日本料理に使われる葛作りにも欠かせない。
桜で有名な吉野山。
その北に位置する大宇陀や吉野地方で作られる吉野葛は、とりわけ有名だ。
冬、厳寒の大和連山の山奥に自生する葛の根を掘り起こし、とりだした源殿粉を冷たい水に晒してできるのが、吉野葛。
大宇陀町で400年間、先祖伝来の製法を伝えている「黒川本家」では、いまも火の気のまったくない作業場で職人さんが上質の吉野葛を作っている。
手の感覚がなくなる冷たい井戸水に、葛の根の繊維を砕いて取り出した源投粉を48時間晒(さら)し、あくの出た水を捨て、沈殿した源搬粉をかき集め、さらに井戸水で晒す。
これを寒晒しといい、十日間の間に五回繰り返したあと、今度は寒風にさらして風干しにする。
こうしてできた吉野葛は、上品な独特の風味を持ち、高級和菓子をはじめ、ゴマ豆腐や吉野煮など料理の材料として重宝されている。